推譲の精神と “フードバンクまちだ ”

群馬の新鮮で美味しい 規格外”野菜 を お届け!

4月22日、春の群馬県を訪れました。道中に咲く菜の花が美しく、心が和む旅路でした。今回の目的は、東京町田東ロータリークラブとして赤城たちばな農協様から「規格外野菜」を受け取ることでした。形や大きさが市場の基準に合わないというだけで、味や栄養にはまったく問題のない野菜たちです。この野菜は町田市社会福祉協議会を通じて「フードバンクまちだ」事業に提供され、生活に困っている家庭や子ども食堂に届けられました。

「フードバンクまちだ」は、地域の支え合いを形にした取り組みです。市民センター(忠生・南・成瀬)や小田急百貨店内の無印良品に設置された回収ボックスには、缶詰やレトルト食品、パックごはんなどが寄付され、月に2回、コンテナ3つ分もの食品が集まります。(ちなみにパックごはんは、高齢で炊飯が難しい方にとって貴重な食材として重宝される人気の食材なのだそうです)

こうした活動は、二宮金次郎が説いた「推譲の精神」に通じるものです。
金次郎は「人道は譲りにあり」と語り、日々の努力によって得た富や余剰を、将来の自分や家族、さらには社会に譲ることの大切さを説きました。今回の野菜は、農家の方々が「どうせ捨てるなら誰かの役に立てたい」という思いで提供してくださったものですが、食べたご家庭からは、「とても美味しかった、家族で団らんの時間を持つことができました」などと感謝の声が届いているそうです。これは、譲る側と譲られる側が互いに謙虚な姿勢で支え合う、まさに推譲社会の実践といえるでしょう。

贈呈セレモニーの様子です

おぜき重太郎

規格外とはいえ、野菜は新鮮で美味しく天の恵みと人の努力の結晶です。それが畑の隅に捨てられてしまうのではなく、町田の子どもたちや困っている家庭の笑顔につながる。そんな温かい循環が地域に根づいていることに心を打たれます。私たち一人ひとりが自分にできる範囲で、「譲る」ことを意識し、感謝の気持ちを持って支え合う社会を築いていきましょう。フードバンクまちだが二宮金次郎の願った「推譲社会」を体現したものと感じ今回、ご紹介させていただきました。

(町声レポート2025年4月号 執筆者:おぜき重太郎