シリーズ 人生に役立つ二宮金次郎の教え (その12)
「立場をわきまえることの大切さ」:二宮翁夜話 巻の3-82より
二宮金次郎はこう言いました。「ある藩の方で、偉い地位にあった時、私は礼儀正しく謙虚であるように勧めたけれど、聞き入れませんでした。その後、その人は結局仕事を辞めさせられ、今ではとても困っていて、今日を生きるのも大変です。
その人は、藩が大変な時に功績をあげたのに、今はこんなに困っているのです。それは、偉くなった時に自分の立場をわきまえずに振る舞ったからです。偉い立場にいる時は、礼儀正しく謙虚であるべきで、仕事を辞めた後に遊んだり贅沢をしても問題ありません。そうすれば誰もその人を悪く言わず、妬むこともありません。
仕事を頑張って、休む時はしっかり休むのが良いのです。偉い立場にいる時に遊びすぎて、仕事を辞めた後に節約するのは、昼間に休んで夜に働くようなものです。偉い立場にいる時に遊びすぎると、誰もがその人を妬むでしょう。そんな人が長く安定していられるわけがありません。だから、その人が辞めさせられたのは当然で、不幸なことではないのです。(一部抜粋・意訳:おぜき重太郎)
いま、私も公職を務めさせていただいてますが、毎日のお勤めをこなすだけで精いっぱい。人の前でご挨拶する機会はあっても、自分を「偉い」などとは微塵も思ったことはありません。
しかし、自分の仕事のことを振り返ってみると、仕事が上手くいった時に、気を付けてはいるのですが態度が少し大きくなったりしていないか、心配になる事があります。
でも、よく考えてみれば、例えば会社の仕事が上手くいったというのは、お仕事をくれているお客様がいるからであり、また、議員として市民要望が上手く通ったということは、お役所の職員さんなど、それを理解してくれた方々がいるわけで、それを考えると自分が偉いとかそういった話はやっぱりないのかなと思います。ただ、私も生身の人間なので時に勘違いしてしまうときもあるかもしれません。その時のためにこの金次郎先生の話を頭にインプットして、自分を戒めたいと思います。よかったら参考にしてください。
(町声レポート2024年9月号より 執筆者:町田市議会議員 おぜき重太郎)