シリーズ 人生に役立つ二宮金次郎の教え(その10)

 〜”利他の心”の大切さ。二宮金次郎の湯船のたとえ〜


二宮金次郎は、自分の欲ばかりを追い求めるのではなく、他人や全体のことを考えるべきと説いています。金次郎は、湯船の中で立っているとお湯が浅く感じるが、かがめば十分だという例えを使いました。これは、自分の欲を抑え、身の丈に合った行動をすることの大切さを示しています。

また、湯船のお湯を自分の方にかき寄せると逆に流れてしまうが、向こうに押すと戻ってくるという例えで、他人のために行動することが自分にも良い結果をもたらすと教えています。人間の手は自分の方に向いているが、他人のために使うこともできるという点を強調しているのです。

さらに金次郎は、鳥や獣の手は自分のためだけに使われるが、人間は他人のために手を使うことができるとも述べており、これが人間としての道であり、他人のために行動することが重要だとしています。

彼の教えは、自分のことだけでなく、全体や公共の利益を考えることの重要性を説いています。時には、お風呂につかりながら、利他の心について考えてみるのも良いことかもしれません。

二宮金次郎は、江戸時代、貧苦で疲弊した農村を復興させることに生涯を捧げた偉人です。人は苦しい時ほど自分のことで精一杯。しかしそういった時こそ、他人を思いやり、力を合わせて困難に立ち向かうことの大切さを知っていたんだと思います。

(町声レポート2024年7月号より 町田市議会議員 おぜき重太郎)