反撃能力と防衛予算について    

~気になる話題を聞いてみる~
 日本維新の会 政調会長 音喜多駿 参議院議員

 尖閣諸島周辺海域では、中国海警局所属の船舶が領海侵入することが常態化し、北朝鮮から度重なる弾道ミサイル発射がなされるなど、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しています。国民の多くも報道やJアラートの発令などを通じ実感しているのではないでしょうか。
そのような中、2022年12月16日に防衛3文書の改訂が閣議決定され、「反撃能力」の保有がはじめて明文化されました。政府は、反撃能力を持つことは一定の条件を満たせば「法理的には自衛の範囲内」としながらも、戦後一貫して反撃能力を持たずに今日まで来ていました。そういう意味では今回の閣議決定は安全保障に関して大きな方向性の転換といえます。
また、加えて防衛予算も議論になりました。11月28日には岸田総理から2027年時点でGDP比2%となるように財務大臣に指示が出され、 12月5日には2023年度から5か年で防衛費を総額43兆円確保するように財務大臣に指示が出されるなど、防衛力強化の議論が加速しています。そのような中、43兆円のうち不足分の1兆円は増税で賄うのではないか?との議論もなされています。
これら国の議論は、当然、私たちにとって無関係ではありません。きちんと防衛をめぐる国の動きを知っておくことも大切と考え、日本維新の会で政調会長である音喜多駿 参議院議員に、防衛政策の考え方や取り組みについて伺いました。

音喜多 駿

音喜多駿

1983年9月21日、東京都北区生まれ。私立海城中・高校を経て、2006年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループに勤務。2013年6月、東京都議会議員選挙に初当選し、2期務める。2019年7月、日本維新の会より参議院議員選挙東京都選挙区に出馬し、参議院議員に☆日本維新の会政調会長。東京維新の会幹事長☆ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」☆主な著作に「ギャル男でもわかる政治の話」「東京都の闇を暴く」など☆趣味はストリートダンス、中国武術、マラソンhttps://otokitashun.com/

 

おぜき重太郎
自民党と公明党で反撃能力を持つことに合意したという報道がありました。反撃能力を持つことについてどのように考えますか?

音喜多駿

安全保障環境が厳しさを増していると国民の多くの方が実感していると思いますが、抑止力の1つとして反撃能力を保有し、そのことを内外に示すことは重要な意味を持ちます。頻繁に北朝鮮がミサイルを撃ち、中国の脅威やウクライナ危機もあるわけですから、迎撃能力を高めるだけでは不十分です。相手の脅威に合わせてこちらも能力を拡大していく必要があると考えています。
おぜき重太郎
私も大学で憲法を学んだことがありますが、日本国憲法の下では、有事の際でもわが国は専守防衛でなければならないと思います。反撃能力を持つと、専守防衛を超えてしまうということはないのでしょうか?

音喜多駿

もちろん憲法が掲げる専守防衛の理念は当然遵守しなければなりません。そのため先制攻撃に使わないなど、自衛権の範囲内に留める一定の制約が必要です。おぜき重太郎市議もご承知と思いますが、わが党(維新)では積極防衛能力と呼んでますが、相手に攻めさせないために何をするのか現実に則した議論をしていくことが大切だと訴えて来ました。そのための反撃能力保有であると考えます。
なお、日本維新の会では、「国家安全保障戦略等の改定に対する提言書」を岸田文雄首相に提出していますので是非それも読んでみてください。反撃能力の保有や反撃対象の制約緩和、実力行使における「必要最小限度」の解釈の見直しなどを盛り込んでいます。
提言書
おぜき重太郎
街頭に立っていても感じるのですが、最近、国民の間で国防のあり方について関心が高まっているように感じます。
音喜多駿
平和主義をうたう憲法の理想は素晴らしいです。しかし、残念ながらそれだけでは国土や主権は守れないのでは?という意識が国民にも醸成されてきているのかもしれません。一方で、もちろん外交努力は必要なので日本の安全保障を考える上で、外交と防衛力は車の両輪として強化していく必要があると考えます。
おぜき重太郎
防衛力の強化といっても、現実的に日本一か国だけでは対応が難しいように思えます。また、防衛力強化にはお金もかかる話だと思うのですが防衛予算の増額についてはどのようにお考えですか?
音喜多駿
まず、わが国には日米同盟がありますので、安全保障を考える上で日米同盟は当然、その基軸となります。また、価値観を同じくする民主主義国家で連携して、周辺国の脅威や台湾有事などに対峙していくことが極めて重要ですね。
防衛費の増額についてですが、国内総生産(GDP)比1%枠を見直し、北大西洋条約機構(NATO)レベルの2%に引き上げることは国際的な責務といえるので、増額は不可欠と考えます。世界の平和と秩序を保つためには国際社会との連携は必要で、その責務を果たすためにも日本は諸外国並みの防衛予算を計上すべきと考えます。
おぜき重太郎
一方で、防衛予算43兆円に対して1兆円が足りず、増税の議論がされているようですが…。
音喜多駿
日本維新の会としては、増額のための増税には反対です。唐突に増税ありきで年末までに一定の結論を出すという政府の姿勢は拙速で、全くやり方がおかしいですよ。短期的には外国為替資金特別会計(外為特会)の活用や臨時国債の発行も考えられるだろうし、中長期的には行財政改革、経済成長による税収増などで持続的に財源を確保できるか、与野党を超えて議論、検証するべきですね。
おぜき重太郎
維新の会としては是非、行政改革や歳出改革の議論を国会でリードして頂き、増税なしに1兆円の財源をねん出して頂きたいです。
おぜき重太郎
テレビや報道で見ても、なかなか国政を身近に感じる機会は限られていると思います。せっかく国政政党に所属しているので、皆さんの関心があるトピックスを国会議員の皆さんにお話を伺い、思いや考えをお届けできればと思いました。さまざま意見が分かれることもあると思いますが、丁寧にご意見を伺っていきたいと思います。

 

(会報2022年12月号より 執筆者:おぜき重太郎)