【クマ特集号】町田市でクマ目撃!市の対応・対策は

~町田市でついにクマが目撃!~ 

 2023年10月18日に、町田市の Nature Factory 東京 町田(旧大地沢青少年センター)でクマが目撃されました。町田市でクマが目撃!と全国で報道されたため驚いた方も多かったと思います。

現在のところ被害の報告はありませんが、市民の皆様は、正確な情報を知りたいと望んでいらっしゃると思います。安心して日常生活を送って頂くためにも情報を整理する必要があると考え町田市議会で質問をして参りました。


【町田市の対応】
10月18日:Nature Factory 東京 町田でクマの目撃情報
10月19日:ツキノワグマの足跡のようなものを現地で発見。
10月20日:町田市危機管理指針の“情報収集態勢”に移行。堺地区に情報をメール配信。
10月25日:Nature Factory 東京 町田、施設を利用制限(キャビン・テントサイト利用停止)。
11月16日:Nature Factory 東京町田、施設の利用制限解除。情報収集態勢の解除。この間、新たな目撃情報無し

~町田市の対応は?議会質問から~ 

【Nature Factory 東京 町田 クマ目撃 関連地図】
Nature Factory 東京 町田 クマ目撃 関連地図
【2023年12月議会 一般質問でのやりとり】
おぜき重太郎
重太郎:今回、市はどのように住民に知らせ安全対策を講じたのでしょうか!
部長のイメージ画像
防災安全部長:10月20日の午後3時32分に、町田市メール配信システムを通じて、Nature Factory 東京町田敷地内の山中においてクマの足跡のようなものが確認されたこと、人的被害はないこと、及び被害防止に関すること等の情報を堺地区に配信しています。
おぜき重太郎
重太郎:クマが出没した場合は、捕獲等、どのように対処するのでしょうか!
部長のイメージ画像
防災安全部長:ツキノワグマは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」において「国際希少野生動植物種」に指定されています。また、東京都においては南多摩地域で「絶滅危惧2類」に位置付けられており、狩猟による捕獲等が禁止されています。

そのため市内でツキノワグマが目撃された場合は、その時間や場所、人的被害の有無及び市民生活への影響など、実際の状況に応じて、警察署や東京都多摩環境事務所等の関係機関と連携し、町田市危機管理指針に基づき、必要となる対応について研究して参ります。

~東京のクマは絶滅危惧動物!捕獲が出来ない~ 

 町田市議会 2023年12月4日の一般質問では、クマの目撃情報に関して町田市はどのように対応にしたのか質問してきました。

経過として2023年10月18日にNature Factory 東京 町田にクマの目撃情報が寄せられた後、町田市は翌19日に現地調査を行い、クマの足跡のようなものを発見しています。そしてその翌20日には、目撃情報や人的被害がなかったことなどを堺地区(相原町・小山ヶ丘・小山町)にメール配信したとのことでした。実は、八王子市など他の市では、山中でクマが目撃されても「クマは山の中に住むもの」として特段何の対応せず、人里でツキノワグマが目撃され、警察署等の調査により痕跡などが確認された場合は、東京都多摩環境事務所に報告しメールや防災行政無線等で市民に情報提供するそうです。今回、町田市では山中での目撃でしたが「町田市危機管理指針」という危機管理のルールに従って情報収集し、メール配信など対応したとのことでした。

なお、クマが目撃されたNature Factory 東京 町田ではキャンプサイトやキャビンが約1か月間、利用停止となりましたが、その後、新たなクマ目撃が無かったため、現在は利用制限が解除されています。

重太郎:今回、山中でのクマ目撃に対して町田市危機管理指針に従ったことは、リスク管理のあり方として適切だったと考えます。今後も山中での目撃情報に対しても広くオープンに情報提供して頂きたいと思います。

~お隣、相模原市や八王子では頻繁に出没~ 

 東京都内には100頭、神奈川県内には40頭のツキノワグマが生息していると推定されてます。一般質問でクマについて質問した後にも、12月6日には相模原市でツキノワグマがワナに錯誤捕獲され、12月7日には八王子市役所の近くで目撃情報が出るなど、近隣市ではクマが目撃や錯誤捕獲が相次いでいます
東京都多摩環境事務所のHPによるとカモシカとクマを誤認するケースがあるそうです。

東京都多摩環境事務所のHPによるとカモシカとクマを誤認するケースがあるそうです。

11月4日  相模原市緑区若葉台でクマの目撃情報
11月6日  相模原市緑区小渕で1頭が錯誤捕獲(殺処分)
11月7日  相模原市緑区寸沢嵐で1頭が錯誤捕獲(殺処分)
11月13日 相模原市緑区千木良で1頭が錯誤捕獲(殺処分)
12月6日  相模原市緑区小渕で1頭が錯誤捕獲(殺処分)
12月7日  八王子市楢原町(市役所付近)でクマの目撃情報

~神奈川県では錯誤捕獲が相次いでいる~ 

 東京都や神奈川県ではクマの捕獲は出来ないことになっていますが、シカやイノシシを捉えるワナに誤ってかかってしまう錯誤捕獲が発生しています。神奈川県では12月7日現在で今年度9件の錯誤捕獲があり、その内、7件が殺処分されているそうです。なお、東京都には捕殺に関するデータはないとのことでした。捕獲は禁止されているのに殺処分されてしまう矛盾した現状があります。また、具体的に町田市内の人里でクマが出没した場合にどのように対処されるのか、議会で質問をしてきましたが、実際に危険が迫っている場合には銃を使用することも想定される、との答弁でした。
【2023年12月議会の一般質問から】
おぜき重太郎
重太郎:仮に住宅付近に出没し、人身に危害を加えられた場合の対応はどうなるのでしょうか!
部長のイメージ画像
防災安全部長:市街地にツキノワグマが出没し、現に人が襲われているなど緊迫した事態が生じた場合においては、クマの行動や興奮度合い、緊急性の程度、人家や建造物の配置等の状況などを勘案し、人の生命・身体の安全等を確保するための措置として、警察官職務執行法による銃の使用や、鳥獣保護管理法に基づく麻酔猟銃の使用などが想定されると認識しています。

~クマと共生するために~

 人とクマのすみ分けは、人間の生活圏とクマの生息域を区分(ゾーニング)することが有効と言われています。東京都の調査(令和2年10月発表資料より)では、都民の90%が「都におけるクマのゾーニング管理について」必要と答えた結果があるようです。今回クマが目撃されたNature Factory 東京町田やお隣の都立公園である大戸緑地では人とクマのすみわけ(ゾーニング)を考えた管理が必要ではないでしょうか。
人とクマの住み分けゾーニング
また、クマ出没を抑制するためには、誘引物(野外の生ごみ・野菜・果実など)の除去や管理、電気柵など侵入しにくい環境の整備が必要です。東北や北陸地方では果実の除去や電気柵などクマ対策に助成制度を設けているケースもあるようですが、東京都には、そういった制度がありません。

今後もクマが町田市に目撃・出没する可能性が十分あると思います。引き続き議会活動等を通じて町田市や東京都に必要な対策を働きかけて参ります。

重太郎:神奈川県の錯誤捕獲の件数を見るとクマを保護する施設も必要ではないかと感じています。クマを寄せ付けない集落の研究、そして希少動物としての保護活動、クマと共生できるように広く研究を促進できればと考えています。
クマの目撃は地域で大きな話題となったため特集号を組みました。12月議会での様々な取組結果は2024年1月号から順次ご報告して参ります。
(議会レポート2023年12月号より 執筆者:おぜき重太郎)