市民の皆さまと情報共有!町田市議会 建設常任委員会の視察に

 町田市議会の建設常任委員として、三重県 津市・兵庫県 明石市・静岡県 三島市の視察に行って参りました。先進市の良い所を学び、町田市の発展に活かすことが何より大切と考えます。以前には、がん患者向けにウィッグ等を助成する制度を兵庫県加古川市に視察に行き、町田市でも実現したケースがありました。また、先進的な事例は市民の皆様とも情報を共有したく概要をレポートさせていただきます。

~ ① 三重県 津市:公園の整備に民間活力を導入!~

【津市の紹介】
津市は、三重県の県庁所在地であり、その中心市街地は、藤堂高虎が整備した城下町に由来しています。お伊勢参りの通り道であることから古くから繁栄してきた街です。この津市には、“中勢グリーンパーク”という総合公園があり、民間の力を活かしたPFIという手法で整備されたため注目されています。
津市の地図です。

【PFIとは】
PFIは、Private-Finance-Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の略称であり、民間の資金・経営能力・技術力(ノウハウ)を活用して、公共施設等の建設や運営などを行う公共事業の手法です(参考:内閣府HP)。

わが国では、2017年にPFIの手法で公園を整備するPark-PFI制度が創設されました。津市は国土交通省から、この制度を活用してはどうかと助言を受け、中勢グリーンパークの第3期エリア(1.7ha)の整備をPark-PFIの手法を用いて整備したとのことです。具体的にどのように民間の力を借りたのでしょうか?
【中勢グリーンパーク Park-PFI 活用のポイント】
担当課にお話を伺いました。中勢グリーンパーク第3期エリアの整備費用は、総額1億7,000万円だったとのことです。市の負担を軽減させるために、民間事業者に1割強にあたる1,700万円を民間事業者に担ってもらいました。また、民間事業者にはこの先、20年間、公園で飲食施設を運営することができるようにして、その飲食施設は民間事業者が設置しました。
中勢グリーンパークです。
民間事業者にとっては、公園整備費用の一部を負担したとしても、20年間は公園で独占的に飲食施設を運営できることがメリットです。津市としても整備費用を削減しつつ、さらに飲食施設までできることを考えればwin-winの関係が築けたと思います。
公園内の飲食施設です。

中勢グリーンパーク内の飲食施設です。

 しかし課題は、せっかくオープンした飲食施設でどの程度、収益をあげることができるかだと思います。2023年4月に第3期エリアがオープンして1年が経過しましたが、4月5月と気候の良い時期は利用者が多い一方、猛暑の季節の8月や気温の下がる1月2月は利用者が減るとのことでした。繁忙期と閑散期の差を解消することが課題であり、今後はイベントの開催で人を誘致すると担当の方は仰っていました。
おぜき重太郎
 飲食施設の収支は、1年目は黒字の月と赤字の月が半々とのことでした。今後の工夫で黒字化できるか、そして20年で初期投資を回収できるのかがポイントです。市はイベントを継続的に実施するとのことですが、イベントのコンテンツ次第で集客の結果が大きく左右されることになりそうです。しかし町田市でも公園整備にかける費用負担は軽減されることは望ましいといえるので町田市にあったPark-PFIのあり方を担当部署とともに研究してまいります。

~ ② 兵庫県 明石市:明石駅前 再開発の手法とは?~ 

【明石市の紹介】
明石市といえば、名物市長の手厚い子育て支援で、一躍有名となった市です。場所は兵庫県の中南部に位置し、大阪から約40分、神戸から15分と良好なベットタウンです。南側は瀬戸内海に面しており、明石鯛やたこなど美味しい海の幸でも有名です。この明石市で大規模な駅前再開発が行われており、町田市にも参考になる事例と思われるため今回、視察に訪れました。
明石市の地図です。
【明石駅前が再開発に至った背景】
明石駅は、乗降客数が一日約10万人を超える明石市の中心駅です。しかし、1999年の明石海峡大橋の開通により、船の利用客が減少。さらに2006年に駅前の一等地にあったダイエー明石店が撤退し3つのビル上層階がほとんど空き店舗となってしまいました。駅前に再度、活気をもたらすために再開発を望む声があがっていました。
【再開発の方向性とその概要】
明石市は、施工の主体は民間ですが再開発に積極的に関与していく方針を決め、市役所の“部”レベルで、構想~計画~設計~運用検討まで一括して推進しました。2011年には明石市中心市街地活性化基本計画の大臣認定を受け、新たな集客施設を整備し、来街者の誘導を目指しました。
整備の内容ですが、ファミリー層や高齢者の買い替え需要としてタワーマンションを建て、長期的に運営持続可能な公共施設の導入しつつ、美容・学習塾・クリニックなどの店舗誘致しました。オーバーストアにならないよう都市の身の丈に合った再開発を目指したそうです。再開発事業は315億円で、内訳は国127億円、県31億円、市114億円、民間43億円と巨額な事業です。2018年に施設が竣工して現在に至っています。
明石駅前の再開発ビル

まさに駅前。駅のホームから再開発のビルが。

【再開発の効果】
再開発ビル整備と駅前広場もリニューアルでき、市民や周辺商業施設からはおおむね高評価とのことでした。再開発ビル内の図書館・子育て支援施設・駅前窓口の利用者数は2015年の約45万人から2021年には約90万人と倍増。歩行者・自転車通行量に関しては2016年の約1.7万人から2021年の約2万人と2割増し。成功している様子が数字にも表れています。
再開発ビル内の親子向け屋内遊び場です。

再開発ビルには大型遊具もある親子向け屋内遊び場も。

おぜき重太郎
 市場調査でニーズを把握し、さらに公共施設を入れて運営に安定性を持たるなど、市が積極的に関与して駅周辺を再開発する手法はもっと活用されるべきものだと思います。町田市も中心市街地以外の駅でも再開発を実現できないか研究を続けます。

~ ③ 静岡県 三島市:メルカリを活用した粗大ごみ等の販売~

【静岡県 三島市の紹介】
三島市は静岡県東部にあり、沼津市や神奈川県箱根町と接する伊豆半島の玄関口です。美しい富士の眺望や湧水と緑あふれる環境に囲まれ、三嶋大社や楽寿園といった観光名所もある魅力的な街です。新幹線停車駅なので、なんと品川まで最短で37分で到着することができます。
【メルカリShopsを活用した取り組み】
三島市では、最終処分場(焼却灰や燃やせないごみの受け入れ場所)の残余容量がわずか約8%と、残り3年で満杯になる大きな問題を抱えており、清掃センターに大量に搬入されている使える粗大ごみを、ごみ削減のためにリユースができないか仕組みを考え始めたとのことです。そこで白羽の矢が立ったのが日本最大級のフリマアプリ「メルカリ」であり、協議を重ね2024年から連携事業開始に至りました。そういった経緯で三島市は、清掃センターに搬入された家庭ごみのうち、まだ使える粗大ごみ等をメルカリShopsに出品しています。
【粗大ごみ等を販売した実績と効果】
2023年9月~24年3月でリユース量は約500点で約5トンに達したとのことです。売却した収入は70万円でしたが、金額の多寡よりもゴミの削減や市民のリユース意識の醸成に重きを置いているようでした。市民からは応援の声が多数寄せられリピーターも多数おり、市民の主体的な行動につながっていると担当者の方は仰ってました。
メルカリShopsに出品する粗大ごみが収納された倉庫です。

メルカリShopsに出品する粗大ごみが収納された倉庫です。

おぜき重太郎
 三島市では、本来の業務の合間にメルカリShopsに出品しており、人員や保管倉庫の不足が課題とのことでした。また、現地即売会も開催したいと仰ってました。一方、町田市では、ジモティーというフリマアプリを活用しており、年間2,557点、販売した実績があります。メルカリとジモティ―の差異を町田市の担当課である環境政策課と比較・議論したいと考えています。

(議会レポート2024年5月号より 執筆者:おぜき重太郎)