街路樹のあり方について

~町田市 街路樹 更新計画 の中身とは?~ 

 街路樹は、道路の景観を向上し、市民にやすらぎを与えます。しかし、高度成長の時代にたくさん植えた街路樹は、50年の歳月が流れた今、巨木・老木化し、落ち葉や枝の問題だけでなく根上がりによる通行の妨げ、台風時に倒木するなど市民の皆さまを危険にさらすケースも散見されます。
町田市内にどれくらい街路樹があるかというと、約15,600本の高木(背の高い街路樹)と83,000㎡の植樹桝(低木の街路樹)があり、その管理には2021年度は約2億5,900万円ものお金がかかっています。
街路樹のイメージ
私も枝の越境や落ち葉など街路樹に関する要望を頂きますが、より行き届いた管理をするには約2億5,900万円では足りず約4億円のコストがかかる試算もあります。町田市役所では、限られた予算の中で街路樹を維持管理しようと努力してますが、街路樹の管理のあり方について考える時期が来ており、この度、町田市街路樹更新計画を作成したとのことなのでご紹介致します。
【コラム:町田市の街路樹の移り変わり】
1950~70年代:公害に強く成長の早いニセアカシア、イチョウ、エンジュなどを植えていました。しかし50年後の今、巨木化の課題に直面。
1970~2000年代:景観への意識が高まり個性ある樹種を採用するようになり樹冠の広がりが美しいトチノキ、ケヤキ、ユリノキ、あるいは花つきが良く大きくなりにくいハナミズキ、コブシ等を植えていました。
2000年代~:地球環境への意識の高まりや街路樹管理の視点から機能的な街路樹を採用するようになり、小径木で成長の緩やかなヤマボウシや1年を通して葉がついている常緑ヤマボウシ、ソヨゴ等と植えるようになりました。

~今までとこれから、どう違う?~ 

Before(今まで)
「街路樹管理基準」の項目に合わせたメンテナンス
①高木管理…樹種に応じて、花木剪定(花芽の形成を促す)、夏期剪定(台風による倒木等の未然防止)、冬期剪定(樹木の骨格枝を整える)、街路樹診断(倒木など危険性のある樹木の早期発見)を実施
②低木管理…植樹桝の低木について、1年に1回刈り込み作業を基本として実施
③除草・草刈り…植樹桝の雑草について1年に2回を基本として実施
After(これから)
「町田市街路樹更新計画」の項目に合わせたメンテナンス
市内の約100路線を選定し、4つのパターンに分けて更新していきます。
①景観重視路線(25路線)…主にサクラ並木で、市民に親しまれている路線。剪定回数を増やしきめ細やかな対応をして美しい景観を維持。
②植栽環境改善路線(28路線)…ケヤキやイチョウなど大径木になる樹種が植えられている路線。植栽の間隔が詰まりを間伐し、整った並木にする。
③樹種変更路線(32路線)…ユリノキなど倒木の危険性がある樹種を地域と相談しながら他の樹種に変更を目指す路線。
④樹木撤去路線(13路線)…歩行空間が狭い、緑地に接しているなど、街路樹を撤去して歩行者や車両の安全性・快適性を確保を目指す路線。

街路樹のイメージ

 町田市街路樹更新計画(素案)はこちらです。具体的な路線名も載っています。
重太郎:この計画によると、街路樹の行き届いた管理をするのに10年間で約47億円かかるものが33億円に圧縮できるとしています。一方で市民にとって愛着のある街路樹の管理を変えていく訳ですから地域住民に丁寧なご説明や対応をお願いしたいと思います。
(議会レポート2023年1月号より 執筆者:おぜき重太郎)