町田のふるさと納税~ “共感”が支える、未来へのプロジェクト ~
◎町田市の税金(市税)が流出?
ふるさと納税は、都道府県や市区町村に寄附する制度です。返礼品や控除を受けた経験がある方も、一定数いらっしゃるかと思います。縁のある地域を応援できる一方で、この制度には「都市と地方の税収格差を是正する」という目的があり、地方に寄附が集中している現状があります。
その結果、町田市でも、本来入るべき税収が年々減少し、市税の流出が年々増加しています(下図参照)。理論上、流出額の約75%は地方交付税で補填されますが全額が町田市に戻るわけではありません。町田市も返礼品の見直しなど対策を進めてますが、思ったような効果が出ていないのが実状です。

◎ガバメントクラウドファンディング、財源確保策として
財源の有る無しに関わらず、市民の皆様の利便性や生活向上に向けて、町田市としてやりたいこと、実現したいことはたくさんあります。とはいえ、お金が無ければ取り組むことも実現することも出来ないのも事実です。
そこで、ご紹介するのは町田市が導入している、ガバメントクラウドファンディング(GCF)です。
これは、寄附の使い道を明示しており、寄附する側が応援したいプロジェクトを選ぶことができるものです。いわば共感をカタチにする仕組みです。ふるさと納税は、自分が住んでいる市に寄附しても返礼品が出ない仕組みになっているのですが(寄附金控除はあります)共感や賛同で寄附する方もいらっしゃいます。こうして集まった貴重なお金でプロジェクトが実施されており、多くの方に喜ばれています。
◎具体的に、どういったプロジェクトがあるの?
町田市の「ガバメントクラウドファンディング」には「まちだ未来づくり寄附」という名称で8つのプロジェクトがあり、寄附を募っています。それぞれの募集期間は10月2日~12月25日までの短い期間となります。具体的な募集内容を右の一覧にまとめました。共感できるものがあれば、応援いただけると有難いですが、町田市でこういう取り組みがあると知っていただけるだけでも有難いことだと思います。
【町田市のGCFプロジェクト一覧(2025年度)】
①まちだ若者大作戦の支援(100万円)
若者の「やりたいこと」を市が後押し。
②子どもにやさしいまちづくり支援(300万円)
地域団体による子ども支援活動を応援。
③学習支援プロジェクト(200万円)
ひとり親家庭などの子どもに無料学習支援。
④『おうちでごはん』支援(200万円)
ひとり親家庭に手作り弁当を届ける取り組み。
⑤学びの未来デザインプロジェクト(300万円)
より良い学びの機会創出や学校教材整備を応援。
⑥電子書籍で読書機会拡大(200万円)
電子書籍を充実させ、スキマ時間の読書を促進。
⑦町田をきれいにする活動(100万円)
美化活動と社会課題啓発イベントを実施。
⑧町田さくらまつり支援(100万円)
さくらで交流の輪を広げるイベントを応援。
◎具体例のご紹介! ④『おうちでごはん』支援
紙面の都合で全部紹介できないのですが一つの例として、「おうちでごはん」は、ひとり親家庭に手作りのお弁当を届ける取り組みです。調理や配達は地域のボランティアが担い町田市社会福祉協議会が補助を受けて運営しています。仕事で帰りも遅く、子どもと向き合う時間がなかなか取れない中、温かく美味しいご飯をプレゼントして団らんと笑顔を提供するプロジェクトです。
私はロータリークラブという奉仕団体の一員として、群馬県の農家から規格外野菜を貰いうけ食材の提供というカタチで、この「おうちでごはん」に協力したことがあります。もったいないと思いながら今まで捨てていたものをありがとうと感謝に変えるこの活動には、多くのボランティアの皆様がかかわっており、人と人をつなぐ温かいプロジェクトです。本当に、お弁当をつくったりお届けするボランティア活動をされている皆様には頭が下がる思いです。

◎重太郎のコメント
ふるさと納税で町田市の税収が流出してしまっているのは事実です。しかし、その一方で、町田市には他市の皆さんからの寄附も寄せられています。こうしたご支援のおかげで、未来のためのプロジェクトが動いていることに、心から感謝しています。今回ご紹介したガバメントクラウドファンディングは、「共感」を大切にする仕組み。「この取り組み、いいな」「応援したいな」と感じていただけるような、町田ならではのプロジェクトを市民の皆様の共感を得ながら育て、継続できたらと考えています。
(議会レポート2025年7月号(広域版)より 執筆者:おぜき重太郎)
