「版画ってアートなの?」展に行ってみた!

※「版画ってアートなの?」展は2025年9月21日に終了いたしました。アーカイブとして記事を載せています。

町田市立国際版画美術館で出会う、版画の魅力と可能性

皆さまは、どのくらいの頻度で美術館に行きますか?調査によると、自発的に美術館に行く方の割合は、15.9%とのことです。(株式会社クロス・マーケティング 美術館・博物館に関する調査(2024年)より)さらに「誘われれば行く程度」「あまり行かないが、これからは行ってみたい」も含めると、美術館に行くことに前向きな方は48.5%、約半数いらっしゃるそうです。

美術館に行く頻度の調査結果

今回ご紹介する美術館は、地元でおなじみの町田市立国際版画美術館です。版画に特化した美術館は世界的にも珍しいといわれ、コレクションは3万3千点に及びます。 ただ、町田市民であっても、まだ鑑賞できていない方はいらっしゃるのではないでしょうか?それならと今回は、9月21日(日)まで開催される「版画ってアートなの?」展をレポートいたします。この機会に一度、訪れてみてはいかがでしょうか?

国際版画美術館の外観写真です。

鑑賞の仕方は “自由に、感ずるままに”!

アートに関わりがなく鑑賞の仕方が分からないという方もいるかもしれません。しかし、館内に張り出されていた「作品の楽しみ方」を読めば、きっと肩の力が抜けるはずです。その基本は、作品の感じ方は自由であるということ。作品をじっくりみて。大きさ・小ささ・質感を感じる。説明を読んでみたり読まなかったり。感じ方は自分次第。気軽に版画作品を楽しみましょう。

版画ってアートなの?展のチラシです。

第1章 版画の作り方(版形式)が分かる

展示フロアは4つの章からなっています。最初の第1章では、版画の版形式が作品と共に紹介されています。凸版、凹版、平版、孔版と4つの版形式があるそうです。
撮影OKな作品を2点、ご紹介すると、例えば、歌川国升の浮世絵は凸版。スタンランの猫の版画は平版とのことです。4つの版形式の何が違うのか…それはぜひ展覧会で見比べながら学んでいただけたらと思います。
(※撮影OKな作品のみ掲載しております)

歌川国升

歌川国升:三代目嵐璃寛の道風(1847年)

スタンラン

スタンラン:冬、クッションの猫(1909年)

第2章 版画の役割とその変遷

版画は元々は複写技術です。一つの情報を多くの方に伝えることに、使命があったと思います。写真NGでしたが、館内に明治22年の熊本地震の被災地の様子を伝える版画がありました。
遠く離れた郷里を心配する人にとっては有難いヴィジュアル情報だったのではないでしょうか。版画は、本の挿絵や商品のカタログ、そしてPRのポスターなど文字だけでは限界がある情報の幅を広げました。さらには、版画そのものを楽しむアートという分野にも進化を遂げていきます。

第3・4章これってアートなの? 版画なの?

後半は、これってアートなの?版画なの?と思わせる不思議な世界が広がっていました。有名な草間彌生さんの作品もありました。特に印象的だったのは、長田奈緒さんのアマゾンの段ボール箱を版画で再現した作品。日常の中にあるモチーフが、版画という技法を通じて新たな意味を持つ瞬間に立ち会うことができました。

長田奈緒さんのアマゾンの段ボール箱を版画で再現した作品

重太郎のコメント:町田市民の皆さんにとって、国際版画美術館がもっと身近な存在であってほしいと思っています。夏休みのこの時期、ぜひご家族で訪れてみてはいかがでしょうか。子どもたちの感性を育む場としても、また大人が新たな発見をする場としても、素晴らしい機会になるはずです。版画というアートの世界に、ぜひ一歩踏み込んでみてください。

(議会レポート2025年8月号(広域版)より 執筆者:おぜき重太郎