町田市議会 健康福祉常任委員会の視察報告 ③
~滋賀県の草津市を視察~
琵琶湖のほとりにある滋賀県草津市は、東海道と中山道が合流する交通の要衝で、江戸時代は宿場町として栄えました。( “草津”というと温泉を思い浮かべる方も多いと思いますが、ご存知の通り、群馬県にも草津市があります!)
京都へ20分、大阪へ50分という好立地から、ベットタウンとして発展して来ました。立命館大学びわこ・くさつキャンパスが立地するアカデミックな街でもあります。
この草津市が2016年に宣言をした、健幸都市宣言について、2023年5月10日に担当者からお話を伺ってきました。
~自治体の思いが込められている都市宣言~
都市宣言には、非核平和都市宣言や交通安全都市宣言などたくさん種類があり、皆様も何かしら聞いたことがあると思います。たとえば町田市では、最近では2022年1月24日に町田市ゼロカーボンシティ宣言をしています。これは、2050年に温室効果ガスの排出実質ゼロを達成し環境先進都市を目指すものです。草津市の場合は、市民の“健幸”(生きがいをもち、健やかで幸せであること)を目指す宣言をしたということになりますね。
都市宣言には、「我が市をこういうふうにしたい!」「市民にこういうふうになってほしい!」といった願いが込められているのですが、ポイントは、都市宣言によって、行政がその理想や目標の実現に向けて努力するということです。
それでは実際に、草津市の健幸都市宣言に関して、草津市はどのような取り組みをしているのでしょうか?
草津市 健幸都市宣言(抜粋)
生涯にわたって心も体も健やかで幸せに過ごせること これはわたしたち共通の願いです
心身の健康には 自分の状態を知ること 適度な運動と休養 バランスのとれた食事など 一人ひとりの取組が大切です 美しい自然や 住みやすい都市環境も大切です そして ともに住む人と人との絆や協働も大切です
今を生きるわたしたちも この地で 出会いと自然に感謝しながら住み続け 訪れることで 健幸になれるまちを ともに創造していきましょう
草津市は 生涯にわたって 一人ひとりが自らの健康を大切にし ともに支え合い ここに暮らすことよって 絆や喜びが生まれ 幸せが感じられる 笑顔あふれるまちを目指して ここに「健幸都市くさつ」を宣言します
~どうしたら市民は“健幸”といえる?~
草津市では健幸都市実現のために、2016年度~2022年度にかけて基本計画を推進をしました。草津市の健幸づくりをまち・ひと・しごとの3つに分類しての展開です。
また、草津市が「健幸なまち」だと思う市民の割合を38%から60%にするという全体目標を定めました。
健幸都市くさつ 3つの方針と主な取り組み
(草津市健幸都市基本計画より)
①まちの健幸づくり
・草津駅や南草津駅を重点整備地区としてバリアフリー事業を実施
・草津川跡地公園でウォーキング等を中心とした健康イベントの実施
・閉鎖型喫煙所の整備
②ひとの健幸づくり
・協会けんぽと連携した集団検診の実施
・健幸都市くさつランフェスティバル開催
③しごとの健幸づくり
・ビワイチ(琵琶湖1周)観光推進のため、イベント開催やサイクリストの受け入れ環境整備・健幸フェア等のイベントを実施
~新・基本方針では市民に向き合う姿勢を明確化~
しかし、せっかく設定した全体目標ですが、結果的に「草津市が健幸なまちだと思う」市民の割合は60%を超えることができなかったそうです。
また、市民からは基本計画に対し「分かりにくい」また「そもそも計画が多すぎる」といった声が寄せられたとのことです。
そこで草津市では、より丁寧に「健幸都市」の意味や意義を市民にお伝えするために「くさつ健幸ガイドブック」を作成し、市長が市民の質問に答えるコーナーや健幸づくりの見える化など新たな取り組みを進めています。
市民に配布されている“くさつ健幸ガイドブック”では、市長が市民の皆様の質問に答えて対話する形式がとられています。
重太郎:健幸都市宣言には市が実現したい理念が盛り込まれてますが計画の推進には、やはり市民のご理解が必要ですね。市民が“健幸”になるために具体的に何をどうするのか。市長が市民の皆様と同じ目線で語る姿勢は大切だと思います。
(町声レポート2023年6月号より 執筆者:おぜき重太郎)