町田市民病院で多焦点眼内レンズを使用した白内障手術が可能に

~2024年4月1日より手術が可能になります~

【白内障って何?】目の中でレンズの役割をしている水晶体が濁り、目がかすむ、ぼやけて見える、などの症状が発生する病気のことです。高齢者の視力低下の主な原因となっています。
【治療法は?】治療には水晶体を人工の眼内レンズに入れ換える手術が行われており、日本全国で年間約130万件行われているそうです。人工レンズには、焦点がひとつの単焦点レンズと、複数の焦点がある多焦点レンズがあります。

 単焦点レンズは、遠距離か近距離のどちらかに焦点を合わせるためのレンズです。遠距離に焦点を合わせれば近距離の視力が出にくく、近距離に焦点を合わせれば遠距離の視力が出にくいという特徴があります。
 多焦点レンズは、遠距離も近距離もどちらも焦点が合わせられるようにつくられたレンズです。かつては「先進医療」の位置づけでしたが、2020年4月より、多焦点レンズを用いた白内障手術は先進医療対象から除外され、保険外併用療養費制度内の、いわゆる選定療養による運用となりました。
単焦点レンズと多焦点レンズの費用感を比較したグラフです。

多焦点眼内レンズを使用した白内障手術は、選定療養費が必要になります。

~町田市民病院で多焦点眼内レンズを使用した手術を可能にするには、町田市議会で町田市民病院使用条例の改正が必要~

 町田市民病院で多焦点眼内レンズを使用した手術をできるようにするためには、町田市民病院使用条例を改正して、多焦点眼内レンズの名称や使用料を条例に明記して位置付ける必要があり、2023年12月議会に条例の改正案が提出されました。
 重太郎は町田市議会の健康福祉常任委員のため、2023年12月13日に開催された健康福祉常任委員会において第119号議案「町田市民病院使用条例の一部を改正する条例」を審査しました。
 町田市民病院では、眼科として昨年912件の手術をしていますが、その86%が単焦点眼内レンズを用いた白内障手術だったそうです。今後は眼科内の手術の5%、年間50件程度の多焦点眼内レンズを用いた手術を想定しています。治療の選択肢が増えることは市民サービスの向上すると思われ、望ましいことだと私は判断しています。
 健康福祉常任委員会の審査では委員全員が賛成にまわり委員会として”採択すべきもの”と決まりました。また、12月21日の本会議においても町田市議会として最終的な意思決定がなされました。この条例改正により2024年4月から多焦点眼内レンズを用いた手術が開始されることになりました。

【参考:2023年12月議会の健康福祉常任委員会では町田市民病院から、このような答弁が】
市役所部長のイメージ画像

医事課長:町田市民病院では今まで単焦点眼内レンズしか対応できてませんでした。今後も、高齢化の中で白内障患者の増加が見込まれてます。町田市民病院は地域医療支援病院として治療の選択肢を増やす取り組みを続けており、その一環として多焦点眼内レンズを用いた手術が行えるようにしたいと考えています。

~単焦点眼内レンズより割高になります。選定療養費は片眼で約30万円から~

 多焦点眼内レンズを選択する上での注意点の一つに費用があげられます。単焦点眼内レンズの場合は手術・1泊2日の入院費を含む自己負担分が片眼2.5万円ほどでしたが、多焦点眼内レンズの場合は片眼30万円ほどで、その差は10倍以上です。多焦点眼内レンズを選択すると金銭的な負担が増える見通しです。

おぜき重太郎

重太郎:町田市民病院において治療の選択肢が増えることを歓迎します。これからも様々な選択肢を増やす取り組みを応援して参ります。多焦点眼内レンズについては、当然のことながら医師の診断を受けていただき、十分な相談の上で選択していただければと思います。
(議会レポート2024年2月号より 執筆者:おぜき重太郎)