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~子どもや障がいなど医療費助成の“還付申請”の問題に取り組む~
橋本駅で街頭活動をしていたところ、障がいをお持ちの方から相談を受けました。医療費助成を受けてますが、東京都内でなく、都外である神奈川県の病院を受診すると領収書を市役所に提出するなど、還付申請の手続き必要になってしまいます。その手続きの負担が大きく苦労しているというものでした。
また、別の話として、お子さんが神奈川県の病院に喘息の治療のため通っており、同じように還付申請の手続きが必要で、普段子育てをしながら仕事をしていると手続きが非常に負担に感じられ困っていると相談を受けました。
町田市はご承知の通り神奈川県と東京都との都県境に位置してます。そのような立地のため市民の皆さんにご不便をおかけするのは非常に残念なことです。
そこで窓口業務をしている町田市役所(地域福祉部、子ども生活部、保健所)、医療費助成を実施している東京都(福祉保健局)、医療保険を所管する厚生労働省(保険局)、診療報酬明細書(いわゆるレセプト)をチェックや支払いをする審査・支払機関など、関係しそうな機関に問い合わせの上、町田市民の声をお届けしつつ実状を伺う取り組みをしました。また、2023年3月16日には、町田市議会3月議会の一般質問で、「都外の医療機関で支払った医療費の助成制度について」と題して現状を確認する質問をしてきましたのでご報告致します。
~そもそも、手続きの負担が大きい“還付申請”とは?~
マル子、マル障、マル親、これからはじまるマル青などの医療証は、実は東京都の制度のため、都外の医療機関を受診した時、そのまま使用できません。そのため、東京都では、皆さんが都外の医療機関で受診した場合、自己負担分(3割または2割)はその場で支払って頂いて、後日、領収書を添付して市役所に還付申請すれば口座に振り込んで還付することにしています。この還付申請は、郵送などでも受け付けてますが、これら手続きを負担と感じる市民の方が多くいらっしゃいます。また、町田市は神奈川県と接していることからこの還付申請が多い市と言われています。
~一方で、たくさんある医療費助成。どんな制度があるの?~
医療費助成とは医療機関に受診した時の自己負担分(全額または一部)を国や地方公共団体が助成する制度です。
議会で質問したところ、町田市が関係する医療費助成制度は、子ども関係4種類、障がい関係5種類、保健所関係7種類でした。マル乳・マル子・マル親・マル障などは馴染みのある制度かもしれません。また、マル青というのは高校生への医療費助成で2023年4月より新たに始まります。
子ども関係の医療費助成
・乳幼児医療費助成(マル乳)
・義務教育就学児医療費助成(マル子)
・ひとり親家庭等医療費助成(マル親)
・高校生等医療費助成(マル青)
※2023年4月から
障がい関係の医療費助成
・心身障害者医療費助成(マル障)
・障がいを軽減する手術等を受ける身体障がい者を対象とした更生医療
・精神障がい者を対象とした精神通院医療
・精神疾患のために入院する児童を対象とした小児精神障害者入院医療費助成
・難病医療費等助成
保健所関係の医療費助成
・結核や新型コロナウイルス感染症などに罹患した方を対象とする感染症医療
・障がいに対し手術等を受ける児童を対象とする育成医療
・結核で入院する児童を対象とする療育給付
・未熟児を対象とする養育医療
・大気汚染医療費助成
・妊娠高血圧症候群等医療費助成
・光化学スモッグ医療費助成
~それでは、どれくらいの町田市民が還付申請しているの?~
子ども関係の医療費助成
・マル乳 毎月 約400人
・マル子 毎月 約700人
・マル親 毎月 約200人
から還付の請求がある。
障がい関係の医療費助成
・マル障 毎月 約200人
から還付の請求がある。
保健所関係の医療費助成
・妊娠高血圧症候群等医療費助成
2021年度還付請求は無し。
~なんとか還付申請を簡略化できないものか?議会質問から~
子ども生活部長 医療機関は、医療証の助成分を含む診療報酬を、その医療機関が所在する都道府県が契約した審査・支払機関に請求しています。
町田市が独自に都外の審査・支払機関と直接契約することは、制度的にできないため、都内の医療機関と同様の取り扱いができません。
地域福祉部長 原則、都外の医療機関で支払った医療費は、市に還付の請求をする必要があります。しかし、マル障は東京都と都外の医療機関が契約をすれば、都内の医療機関と同様に利用することができます。
子ども生活部長 町田市が都外の審査・支払機関と直接契約することは出来ないため、近隣市等と連携して受診しやすい環境を整えることはできません。
地域福祉部長 マル障は、東京都の制度であり、町田市は都民の利便性向上ため事務処理を行っています。受診しやすい環境を整えるには、実施主体の東京都が他の地方公共団体と連携することが望ましいと考えます。
…制度的に仕方ないのは理解できますが
東京都の制度だから無理!の一点張り…(苦笑)
~それでは!と町田市以外のさまざまな機関にもアプローチ~
町田市には問題解決が難しいと感じ、他に解決の糸口はないかと考え、さまざまな機関にアプローチをしてみました。電話では町田市の実状を伝え、どうにか解決出来ないか要望を伝えることに努めました。窓口電話からの問い合わせなので、公式な見解ではありません。私の主観も入っています。
○厚生労働省…地方単独の制度なので、国の管轄ではない。
○東京都…国が統一した医療費助成制度を整えるべきではないか。
○審査・支払機関…実施主体である東京都がグランドデザインを描き、
神奈川県側とも協議・調整をすべきではないか。
↑ 国の問題なのか東京都の問題なのか…どこに電話しても、誰が・どの制度を・どんな風に変えれば良くなるのか分かりませんでした。
~立ちはだかる大きな壁、しかし一筋の光も。それは医療DXの推進~
調査に力を尽くしたものの、八方ふさがりで打つ手なしかと思った時に、厚生労働省に制度の確認をお願いしていた衆議院議員の阿部司さんの事務所から「一筋の光が見えて来たかもしれない」と情報がもたらされました。
それは、2022年10月11日に、内閣官房では総理大臣を本部長とする医療DX推進本部が設置され、そこでは現在、マイナ保険証を活用した医療DX推進の工程表が議論されており、その中に地方単独の医療費助成の制度についても盛り込まれるかもしれない、というものでした。議事録を見ると確かに議論の形跡が!
①全国医療情報プラットフォームにより、自治体や介護事業者等とも必要な情報を安全に共有できる仕組みの構築。
②自治体システムの標準化の取組と連動しながら、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療や地方単独の医療助成などに係る情報を共有。
③個人が行政手続に必要な情報を入力しオンラインで申請ができる機能をマイナポータルに追加し、医療や介護などの手続をオンラインで完結。
重太郎:この工程表は2023年春に正式決定する予定とのことです。これが決定して工程表に沿った議論が進めば素晴らしことだと思います。町田市も確かに町田市だけでは出来ることは少ないですが、国の動きを注視し、国や東京都に町田市の実情を理解して頂く取り組みを続けてほしいと思います。
(議会レポート2023年3月号 執筆者:おぜき重太郎)
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