加古川市の“がん患者 医療用補整具購入費 助成事業”とは?

~健康福祉常任委員会の視察で兵庫県加古川市へ~

 10月3日に町田市議会 健康福祉常任委員会の行政視察で兵庫県加古川市に行って参りました。新型コロナの影響で3年ぶりです。こういった行政視察で学んだことも市民の皆さまと共有した方がよいと考え記事に致します。
【加古川市とは】加古川市は兵庫県の南部、昔 の播磨国の東部にある市です。姫路市と明石市の中間に位置し、電車で神戸に30分、大阪まで50分という立地からベットタウンとして栄える一方、神戸製鋼所で最大規模の加古川製鉄所があり、播磨臨海工業地帯に位置する重工業のまちでもあります。

兵庫県加古川市の位置

~がん患者 医療用補整具 購入費事業の概要~

 がんの治療に伴う外見の悩み(脱毛・乳房切除)を抱えるがん患者に対し、医療用補整具(医療用ウィッグ・乳房補整具等)の購入費用を助成することで経済的支援を行い、外見へのケアを行うものです。
重太郎:誰しもがんになる可能性がある中で、がんに罹患した後も、前向きな気持ちで生きることができる社会を目指すことが大切です。この制度は脱毛や乳房切除といった外見の悩みから、外出や社会参画が消極的になってしまいがちな、がん患者に対して手を差し伸べる先進的な取り組みです。
a.制度概要
①医療用ウィッグ(1人1台)…上限5万円
②乳房補整具(ア・イのいずれか)
ア 乳房補整下着…上限1万円 イ 人工乳房…上限5万円
b.背景・経緯
議会質問で「(助成制度への)調査が必要では?」という質問に対し、市が前向きな答弁をしたことが契機で、調査研究がはじまったそうです。
c.予算と実績
市町村がこういった医療用補整具を助成する事業を行うと、兵庫県が半分、お金を補助してくれる制度があり、加古川市もこの補助金を活用しています。令和3年度は医療用ウィッグ97件、乳房補整具が23件の合計120件の申請があり、加古川市の助成金額は498万5598円とのことでした。
d.利用者の声、課題
申請者からは、ポジティブな声を受けることが多いとのことです。「今まで同様におしゃれができて前向きに生きられる」、「人目を気にして落ち込んでいたものが軽減された」などの声を頂いたとのことです。

~町田市の現状は?~

 町田市に戻った後、地域福祉部に問い合わせをして町田市としての考え方を伺いました。加古川市では、お金の半分を兵庫県からの補助金で賄っていましたが、東京都にはそういった補助制度は無いとのことでした。もしこういった事業を町田市でも進めるには、やはり東京都からのバックアップも必要だと思います。ただし、多摩地域では福生市などで同様の制度が見受けられるとの話もあり、その財源など研究を進める必要がありそうです。
重太郎:がんになった後も前向きに生きられるようにしたいという思いが伝わる血の通った制度のように感じました。私が感じた大切なポイントは、この制度が始まるきっかけが議会質問だったということです。市民のニーズを敏感に感じ取って議会で質問していく大切さを改めて感じるとともに、町田市でも同様の制度が実現できないか、市民の皆さまの反応を見ながら模索して参りたいと思います。

委員会視察の集合写真

(議会レポート2022年9月号より 執筆者:おぜき重太郎)

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