自ら進む道の “大道”を定め、勤めよう

~ビジネスや学業にも通じる二宮尊徳の教え(その4)~

(二宮翁夜話 巻の三 106より)
世間 智者と呼(よば)るゝ者のする処を見るに、農工商を勤(つとめ)ずして、只 小智(ち)猾(かつ)才を振(ふるふ)て、財宝を得んと欲する者多し、誤(あやま)れりと云べし、迷(まよ)へりと云べし

 とかく一攫千金や一発逆転を狙いがちな世の中ですが、実は江戸時代から、浅はかな考えや悪知恵を使って大儲けをしようという者が後を絶たず、しかもそういった人がなぜか「智者」と呼ばれている。そういった世相を尊徳先生は嘆いているように読み取れます。今も昔も人の行動はさして変わらない印象を受けますね。

先日、ロータリークラブの例会で、創業200年を超えるある会社の社長から「牛のよだれ」という言葉を聞きました。牛のよだれは細く長いことから、商いも細く長く、気長に辛抱強く勤めなければならないといった格言だそうです。それこそ商いの“大道”ではないかと非常に感銘を受けました。

私はかつて、製造業の世界におり、生産効率が常に追求され「歩留まり向上」や「改善」が合言葉のような職場におりましたが、革命的な技術革新は時にありますが、「生産性」や「品質」の向上、または「信用・信頼」の構築といったものは日々の地道な努力を積み重ねてはじめて成り立つものだと、今でも思っています。

「信用・信頼」に関していえば、これは政治の世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。耳当たりの良い言葉や格好の良い見せ方ばかりを気にするのではなく、市民の皆さまが本当に何を困っているのか、また何を必要としているのかを常に考え、一生懸命に要望活動や議会で発言するなど、泥臭い活動の積み重ねこそが自らが求める“大道”であるとそう信じています。

(町声レポート2024年1月号より 執筆者:おぜき重太郎)