官民連携で下水道をより良く?下水道ウォーターPPPとどう向き合うべきか
~ “ウォーターPPP ”って? 聞きなれない言葉を解説~
【ウォーターPPPってなに?】
水道や下水道などの運営をより効率的にするため、地方自治体と民間企業が協力(官民連携)する手法があります。その協力の度合いによってレベル1からレベル4まで分けることができ、レベル3.5以上のものをウォーターPPPと言います。
【国はウォーターPPPを推進】
国は、水道や下水道などを運営している地方自治体(市・町・村)の負担を減らすため、このウォーターPPPを推進しています。令和13年までにレベル3.5の事例を全国で100件の導入を目指しています。
【町田市とのウォーターPPPの関係は?】
町田市においては、ウォーターPPPの対象となるのは下水道事業です(水道事業は東京都が管轄です)。民間企業と連携することによって、下水道が効率的に運営され、市民にとっての安心・安全につながると言われています。
【町田市の下水道の課題は?】
下水道には3つの大きな使命(暮らしを清潔に保つ、河川の水質悪化防止、浸水被害を防ぐ)があります。これらの使命を将来にわたり果たすためには、今から考えておかなければならない課題があります。
① 下水道の老朽化:町田市の下水道管は、事業が始まってから50年以上が経過しているため、今後は多くの施設で修理や改築が必要です。
② 人口減少:町田市でもいよいよ人口が減少していきます。それにともない、下水道を使う人も減り、下水道使用料が減っていきます。
⇒収入が減っていくので、下水道を効率よく管理する必要があります。町田市には下水道事業に対する経営的努力が求められています。安易に下水道使用料の改定(値上げ)に結び付けるわけにはいきません。
【改めて考える、ウォーターPPPのメリット】
それでは、ウォーターPPPを導入するメリットについて考えてみましょう。具体的には次のメリットがあると言われています。
① お金の節約:民間企業のノウハウや技術力を活用し、老朽化した下水道を直すのにかかる支出を減らすことができます。管理から更新までの委託の一体化や、プロフィットシェアの導入によって公共サービスのコスト削減が期待できます。※プロフィットシェアとは、コストダウンによって生まれた利益の官民分配のこと
② 新しい技術:民間企業が持つ新しい技術を活用して、市民により良いサービスを提供することができます。仕様発注ではなく性能発注とすることで民間の新しい技術やノウハウを活用し、より高品質なサービスを提供することが期待できます。
③ 人手不足の解消: 人員は民間企業が用意するため慢性的な人材不足に対応できます。下水道施設の更新事業が本格化する中で生じる人材不足を補い、人的資源の有効活用が図れます。
【町田市はPPPにどう向き合っているのか?】
町田市は、下水道をもっと良くするために、まさに今、ウォーターPPPを導入するかどうか検討しています。2024年度に、下水道の現状や問題点を調べ、どの施設や仕事が対象になるかを検討しているのです。費用と効果を計算し、企業が参加したいかどうかも調査しています。2025年度には、ウォーターPPPを導入するかどうか判断する予定です。
下水道は市民にとって必要不可欠な公共サービスです。もし災害や老朽化によって壊れてしまったら市民生活に大きな影響を及ぼします。町田市には、ウォーターPPPの手法を上手く活用して施設の維持やより良い下水道サービスを提供できないか、その検討してほしいです。民間の力を活用することで、技術革新・物価高騰・人材不足と言った激動する社会に対応できるかどうか。メリット・デメリットを比較検討し、市民の皆さまに情報提供してほしいと思います。
(町声レポート2024年8月号より:執筆者 町田市議会議員 おぜき重太郎)
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