長久手市が行う“買い物リハビリテーション”事業とは?

~健康福祉常任委員会の視察② 愛知県長久手市へ~ 

 10月3日に町田市議会 健康福祉常任委員会の行政視察で愛知県長久手市に行って参りました。

【長久手市とは】小牧・長久手の戦いで有名な長久手市は、名古屋市に隣接する人口6万人余りの市です。面積・人口ともにコンパクトな街ですが、高齢化率が17%と全国的に非常に若いまちと言われています。
長久手市は、愛・地球博(2005年)の長久手会場として選ばれ、その跡地は愛・地球博記念公園として整備。さらに2022年11月には、その敷地内にジブリ・パークがオープンし、長久手市に新たな魅力が一つ加わりました。
長久手市の地図

~買い物リハビリテーション事業の概要~

【事業の概要】買い物リハビリテーション事業は長久手市+介護・健康増進等事業者(デイサービス)+小売事業者(スーパー)が連携し、介護予防と買い物支援を組み合わせた事業のことで、生活機能が低下した高齢者向けのサービスです。
この買い物リハビリテーションは、高齢者を自宅から送り→体調チェック→運動→小売店(スーパー)での買い物→運動→自宅へ迎えする2時間程度のサービスです。アピタ、平和堂、ピアゴパワーという市内3か所の小売店で行われています。
対象は、通所型サービス(デイサービス)を利用していない、あまり社会参加をしていない高齢者で、デイサービスに通い始めたり、買い物が一人でできるようになるとリハビリ完了とのことです。(デイサービスに通っている方はこのサービスを利用できません)現在は定員10名×3か所、30名の方がこのサービスを利用しているそうです。

買い物リハビリの流れ

【背景】この制度をつくった背景は長久手市内に理学療法士等のリハビリ職がほとんどおらず、リハビリができる事業所が無かったからだそうです。目玉は何と言っても“買い物”が出来ることです。スーパーにとっても来客効果が見込める上、日常生活行為により近い形での介護予防活動の実施することで、ご高齢の方にとって生活行為の自立支援につながるものと思われます。

【予算】長久手市から、1回あたり3万円の補助を事業者に支給。

【課題】利用者の満足度は高いそうですが、10名×3か所=30名に固定されてしまっていることに課題のようです。制度の目的が“リハビリ”なので、本来は回復して自立しなければならないところですが、実際にはご高齢(最高齢93歳)ということもあり、利用者が固定化をしている現状があるようです。

 重太郎:町田市では、ご高齢の方が買い物や病院へ行くための“移動支援”を求める声がかねてよりあがっています。買い物リハビリも非常に大切ですが、一定の年齢になるとリハビリよりは移動支援のニーズが高まります。移動支援の一環として買い物ができ、さらに体調チェック、そして運動ができるような取り組みがあれば町田市でも人気が出るのではないかと感じました。
(議会レポート2022年10月号より 執筆者:おぜき重太郎)